【職人の独り言】琥珀は大変軽く塩水に浮きます。更に地下に２−４千万年も埋もれていたこともあって、汗や海水などにも極めて強いです。西欧では琥珀を「１１月の誕生石」とし、特に北欧では１０年目を「琥珀婚」と呼ぶ習わしがあり、また想いを寄せる人に琥珀を贈ると愛が実ると言い伝えられています。【職人の独り言】琥珀の木の樹脂が約３５００万年を経て、海底下深く沈降し、その場所の高温と高圧で、化学的には重合作用によりまして、透明なウイスキーやブランデーのコニャック色或いは乳白色の琥珀に育ちました。因みに地下１，０００ｍだと１００気圧です。 道路工事の削岩機が７気圧、蒸気機関車が１５−１８気圧ですからすごい圧力です。琥珀は透明な物、乳白色の物、両方が入れ混じった３種類に大別できます。【職人の独り言】バルト琥珀の中で乳白色琥珀はマット「フランス語では泥の意」と呼ばれています。 明るい黄色のもの、黄色の中に白い模様があるもの、象牙の様な白いもの等と色々な種類があります。 人によってはクリーム色、ミルキー色、ロイヤルアンバー等と洒落た名前で呼んでいます。 白い色は空気や水の微粒子が琥珀の中に煙の様に含まれることで生じ、微粒子の大きさや量で黄色くなったり白くなったりします。 近年、この熱処理を施さない天然のままのマットは産出量が少なく希少価値が増えてきました。 琥珀は、２、３０年以上経ちますと、人肌と同じ様に空気中の酸素の為表面が酸化して、表面の色合いが濃くなって行きます。 内部の色はそのままですから、再研磨しますと元の色合いに戻ります。 欧州の博物館の琥珀や古墳から発見される琥珀は黒茶色で、アンティーク（古風）色と呼ばれ珍重されています。 特に白い乳白琥珀は貴重です。【琥珀職人の余談】中国の琥珀愛好家は、黄色が皇帝の色ということもありまして、乳白琥珀を好んで収集されております。 この熱処理を施さない天然のままの乳白琥珀は、産出量が少なく希少価値が増えてきました。 更に近年、恐縮ですが、この乳白琥珀は中国人の爆買いで価格が暴騰しました。 【琥珀職人の独り言】琥珀はギリシャではエレクルトン(Elekrton）と呼ばれ、電子の語源に、又、アラブではアンペア（Ampere）と呼ばれ電流の強さの語源になったと伝えられています。絹や髪の毛で摩擦すると負に帯電し、微粉を吸着することは良く知られています。従って、琥珀を身に着けると、琥珀側はマイナスに帯電し、その分人体側はプラスに帯電し、周辺のマイナスイオンを引き付ける効果があります。あるエステのお店では顔のマッサージに使われています。琥珀のなめらかな感触とマイナスイオンを引き付ける効果もあって、心地好いようです。その訳かもしれませんが、古来、琥珀は魔物を退け、病気を癒し、そして永遠の幸せを呼び寄せると言われて来ました。小生は長年の琥珀の研磨で、腱鞘炎になっておりまして、毎晩、琥珀を両手に握って寝ております。そうすると、朝目覚めたときにバネ指が治まっています。今では完治しています。【職人の独り言】琥珀の中のグリッター（気泡）は約３，５００万年前の空気が打上花火の様に膨張して開いたものです。地下深く埋没して琥珀に変成する時、空気も一緒に圧縮された証拠です。黒又はチェリー色をバックにして金色のグリッターが輝いています。 このグリッターをルーペで見ると、中心から周りに向かって放射線が見えます。このグリッターはバルト琥珀（バルティック・アンバー）の典型です。ドリルで琥珀に穴を開けるとき、このグリッターに到達すると、南極の氷がウイスキーに溶ける時の様に、パチンと音がして空気が飛び出してきます。